消化器内科
(胃腸内科)・
内視鏡内科
PRACTICE
大腸がんは、
早期発見・診断・治療を
的確に行えば、
ほぼ100%完治します。
院長 中村尚志が大腸がんの患者様を
一人でも減らす為に、
最新の内視鏡機器を用いて短時間で痛みがなく(sedationを用いて)、
的確な早期発見・診断と適切な
内視鏡治療を提供していきます。
NBI(Narrow Band Imaging)と
大腸拡大内視鏡とは?
従来の内視鏡とは異なり特殊光を使用し、これまでの通常光では見えなかった良性腫瘍(腺腫)や
悪性腫瘍(癌)の表面に観察される毛細血管(微細血管構築所見:vessel pattern)や
微細な粘膜模様(表面微細構造所見:surface pattern)などを
強調して描出すことができます。これにより大腸ポリープの質的診断(非腫瘍性ポリープか腫瘍性ポリープかの鑑別)を
行うことが可能となるため、内視鏡検査・診断をスムーズかつより詳細に行えます。
さらに80倍から135倍の高解像度の拡大画像にて確認できる拡大内視鏡を用いて、病変のvessel patternやsurface
atternをより詳細に観察することで、将来、癌になる可能性がある腫瘍性病変(内視鏡切除の適応病変)かの質的診断を
確信をもって行なうことができます。
このようにNBIと拡大内視鏡を組み合わせることで、微小ながんの早期発見や的確な質的診断・異型度診断や
それに加えて量的(深達度)診断が可能(内視鏡切除で完治となる初期の早期大腸がん(粘膜内の癌・粘膜下層に軽度浸潤した癌(粘膜下層への垂直浸潤距離が1000μm未満の癌)か、進行がんに準じた外科的手術が必要となる
早期大腸がん(粘膜下層に高度浸潤した癌(粘膜下層への垂直浸潤距離が1000μm以深の癌)かの鑑別診断が可能となります。
特に大腸の平坦・陥凹型病変の発見と量的(深達度)診断に有効であり、
的確な内視鏡診断から適切な治療方針が導けるので、不要な切除などを減らすことができます。
上記のNBI拡大診断に追加して色素拡大内視鏡(クリスタルバイオレット染色下)で
腫瘍やがんの表面に描出される模様(pit pattern)を
詳細に観察することで外科的手術が必要となる小さな(10mm未満)早期癌もより的確に診断が可能となります。
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【図1A:通常光での撮影画像】
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【図1B:NBIの特殊光での撮影画像】
大きさ7mmの平坦な病変。
NBIの特殊光に切り替えることで病変部(○印内)の視認性が向上します。
さらに80倍から135倍の高解像度の拡大内視鏡を用いると効率的かつ正確に診断ができるので、
切除が必要なポリープ(腫瘍)と必要ではないポリープ(非腫瘍)かの見極めを行うことが可能となります。
【図2:図1BのNBI拡大画像】
JNET分類type2A 腺腫と診断し内視鏡治療の適応となる病変です。
大きさ9mmの平坦・陥凹型の病変。
早期大腸がん・粘膜下層高度浸潤癌と診断し外科的手術を選択。
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【通常光観察】
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【インジゴカルミン散布の色素弱拡大観察】
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【NBI強拡大観察】
JNET分類type3 -
【クリスタルバイオレット染色下の色素強拡大観察】
VI高度不整pit pattern
VI高度不整pit patternの領域内に
IM pit pattern(Irregular micro pit pattern:
院長が命名したpit pattern)が観察され、
中分化管状腺癌からなる粘膜下層に高度に
浸潤した癌を確信し得た。
病理組織診断は中分化管状腺癌からなる粘膜下層に1275μm
浸潤した高度浸潤癌であった。
以上より、大きさ9mmの小さな病変でしたが、
的確な拡大内視鏡診断により適切な治療方針が選択できた病変でした。
EMR
(Endoscopic mucosal resection
(内視鏡的粘膜切除術)とは?
EMRとは、早期の胃がんや大腸がん、大腸ポリープに対して内視鏡治療する方法です。
粘膜下層に生理食塩水やグリセオールや内視鏡用粘膜下注入材などを局注することにより、
粘膜下層を膨隆させ病巣を浮かせて高周波電流を用いてスネアで切除します。
早期大腸がんや1cm以上の大きな大腸ポリープなどの治療で広く利用されており、
その技術の進歩によりESD(Endoscopic submucosal dissection・内視鏡的粘膜下層剥離術)が開発され
より大きな(2cm以上)早期大腸がんも内視鏡治療ができる時代であります。
しかし、このESDの治療法は、大腸病変においては、麻酔科医が常勤し、
外科的手術ができる大きな病院(大学病院・総合病院・国立がん研究センターなど)でのみ保険適応となるため、
当院では、このESDに類似したpre cutting EMR(粘膜下層に局注し病巣を浮かせてから電気メスで病変
周囲粘膜を全周切開してから高周波電流を用いてスネアで切除します)を導入し、
2cm以上の大きな早期大腸がんも安全に的確に治療を行っております。
一般的な外科的手術と比較して手術時間も、EMRなら5分から10分、pre cutting EMRであれば15分から30分と短く、
入院や全身麻酔の必要もないため、患者様の負担は少なくなります。
【手術方法】
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- 1.局所注射
- 病変部周囲粘膜に生理食塩水やグリセオールや
内視鏡用粘膜下注入材を注入して水ぶくれをつくり膨隆させる。
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- 2.スネアの使用
- 膨隆させた状態で、スネアを病変部周囲に大きくひっかけるようにして絞めます。
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- 3.病変部の切り取り
- スネアで絞めている病変部を通電させて焼き切ります。
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- 4.検査
- 切除した病変部の組織を回収、顕微鏡検査(病理)に提出し、組織診断にて取りきれたのかを確認します。
※ 写真はNBI観察での画像です。
コールドポリペクトミー
(Cold Polypectomy)
コールドポリペクトミーとは、大腸ポリープ切除法の一つです。
従来、大腸ポリープの切除は高周波電流(通電しながら)で「ワイヤー焼き切る」のが普通でしたが、
熱凝固による偶発症(穿孔:腸に穴が開くこと・後出血)の危険性がありました。
一方、コールドポリペクトミー(非通電切除)の場合は、熱凝固の影響を受けないため、
やけどを起こさずにポリープを切除することができますので穿孔や後出血の危険性はほとんどありません。
5mm未満の微小ポリープは、cold forceps polypectomy( コールドフォルセプスポリペクトミー) が良い適応となり、
5mmから10mm未満の小さなポリープは、cold snare polypectomy(コールドスネアポリペクトミー)が良い適応となります。
欧米ではすでに一般的な方法で、後出血や穿孔がほとんどなく、患者さんの身体的負担や術後の行動制限も軽く済みます。
当院では、EMRなど通電して摘除した場合には、1週間の安静・食事制限がございますが、
コールドポリペクトミーの場合には、3日間から4日間に、その制限が短縮可能となります。
【切除方法】
cold forceps polypectomy
(コールドフォーセプス
・ポリペクトミー)
当院では、Jumbo鉗子(デイスポーザブルのポリープ切除専用処置具)を用いて微小病変を切除します。
この鉗子は、通常の生検目的に使用する生検鉗子のカップ容量が2倍以上に大きく設計されたものですので、
大きさ5mm未満の病変には確実に摘除が可能です。摘除のコツは、Jumbo鉗子を全開に開いた状態で使用するのではなく、
病変のサイズに合わせてJumbo鉗子を開き病変をカップ内に包み込むようにして把持してから摘除します。
病変の摘除直後には、摘除した粘膜欠損部分に水圧処置(内視鏡用送水ポンプを使用)を行い、
粘膜欠損部分への注入により粘膜下膨隆が形成され、
水圧による圧迫止血と切除断端の陰性(NBI拡大観察・RDI拡大観察にて判断する)を必ず確認しております。
この確認が重要です。
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1.NBI観察遠景像
大きさ2mmの平坦な病変 -
2.NBI観察強拡大像
JNET分類type2A腺腫と診断 -
3.デイスポーザブルのポリープ
切除専用処置具(Jumbo鉗子)を使用 -
4.病変をカップ内に包み込んで
しっかりと把持し摘除します。 -
5.摘除後に粘膜欠損部に水圧処置を行う。
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6.水圧による圧迫止血とNBI拡大観察にて
切除断端の陰性を確認します。
cold snare polypectomy
(コールドスネアポリペクトミー)
1cm未満の小さなポリープをデイスポーザブルのコールドポリペクトミー専用スネア(輪状の細いワイヤー)で絞り、
非通電にてそのまま摘除します。
一般的には、大きさが5mmから10mm未満の非有茎性ポリープでかつNBI・色素拡大内視鏡診断にて
異型度が軽度(低異型度腺腫)と診断したものを適応としています。
平坦・陥凹型病変や表面型病変に少しでも陥凹を伴うものは、極初期の癌の可能性があるので、EMRで摘除する必要があります。
病変の摘除直後には、上述と同様な処置を行うことが重要です。
このように、コールドポリペクトミーとは、電流を通さずに非通電で摘除する方法であるので、
心臓ペースメーカー装着の方や、金属製のステントが体内にある方でも、
簡便に安全に1cm未満の小さなポリープなら切除することができます。
CO2送気を使用
通常の内視鏡検査では、一般的に空気(room air)を使用して行うため検査終了後にお腹が張って苦しくなることが多いです。
炭酸ガスは空気に比べ、きわめて生体吸収性に優れているため、
当院では、CO2送気(炭酸ガスの送気)を用いて内視鏡検査を行っております。
そのため、検査中および検査後も腹満感はございませんので、苦痛のない検査を提供しております。
苦痛なく検査が行えることは、詳細に内視鏡観察が行えるので、微小がんの発見にも有用です。
数多くの病院との連携で
様々な治療や手術にも対応
より大きながんの内視鏡治療や外科的手術が必要となるがん、緊急を要する場合など
赤坂内視鏡クリニックでは、数多くの病院との連携にて治療を行います。
主な連携先病院
- 国立がん研究センター中央病院 内視鏡科・内視鏡センター
- 東京大学医学部附属病院 大腸・肛門外科
- 昭和大学江東豊洲病院 消化器センター
- 国家公務員共済組合連合会 虎の門病院
- 東京都立 多摩総合医療センター外科
- NTT東日本 関東病院 消化器内科
- 東京医科歯科大学医学部附属病院食道・胃外科・頭頸部外科・耳鼻咽喉科
- 東京都保健医療公社大久保病院外科
- 京大学医科学研究所附属病院 消化器内科・外科
- 東京都がん検診センター
※上記以外の病院・患者様ご希望の病院に関しましても、変わらず連携をとりまして治療を行います。
病理組織診断
・PCLジャパーン病理細胞診センター
特別顧問・新潟大学名誉教授(医学部)渡辺 英伸 先生